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クレジットカードの手数料は誰がいくら払っているのか|お金の流れを公的データで解説

カードで払うとポイントが戻ってくるのに、利用者は手数料を払っていません。では誰が、いくら払っているのでしょうか。この記事では、公正取引委員会・日本クレジット協会・国際ブランドが公開している一次データだけを使い、10,000円の買い物で動くお金の流れを1枚の図に整理しました。

10,000円の買い物で動くお金の流れ10,000円の買い物で動くお金の流れ利用者加盟店(お店)アクワイアラ(お店と契約した会社)イシュア(カード発行会社)10,000円の買い物加盟店手数料 300円インターチェンジフィー約210円(手数料の約7割)ポイント 100円分受取 9,700円(手数料300円を差し引き)※料率3%は説明用の仮置きアクワイアラ取り分・ブランドフィー 約90円ポイント還元(例: 1%=100円)・年会費無料・不正補償の原資約7割の出典: 公正取引委員会 実態調査報告書 2022年4月。料率・割合は契約により異なる出典: クレカ比較Labo(creca-labo.com) 加盟店手数料の内訳(インターチェンジフィー約7割)加盟店手数料 100% の内訳約7割がカード発行会社へインターチェンジフィー(イシュアへ)約70%アクワイアラ取り分・ブランドフィー 約30%JCBは配分率を公開:概ねイシュア3:アクワイアラ1(2023年6月公表)出典: 公正取引委員会 クレジットカードの取引に関する実態調査報告書(2022年4月)、JCB ブランド事業ページ出典: クレカ比較Labo(creca-labo.com) Visa国内クレジット 標準料率のレンジ(0.50%〜3.28%)Visa国内クレジット 標準料率のレンジVisa公開の標準料率(2022年11月以降) 業種×カード種別で約20区分ClassicGoldPlatinum/Commercial/RewardsInfinite0.50%(B2Bプラットフォーム等)3.28%(非適格取引)0%1%2%3%3.5%出典: Visa インターチェンジ・フィー(IRF)公開表 2026年9月時点標準料率であり、実際の加盟店手数料は契約で決まる出典: クレカ比較Labo(creca-labo.com)
図1: 10,000円の買い物で動くお金の流れ/図2: 加盟店手数料の内訳(インターチェンジフィー約7割)/図3: Visa国内クレジット標準料率のレンジ(0.50%〜3.28%)

結論の図: 10,000円の買い物で動くお金

先に全体図を示します。利用者がカードで10,000円の買い物をすると、お店(加盟店)には加盟店手数料を差し引いた金額が後日入金されます。手数料率は業種・ブランド・契約内容で幅があるため、説明用に3%と仮置きすると、お店の受取は9,700円、手数料は300円です。公正取引委員会「クレジットカードの取引に関する実態調査報告書」(2022年4月)は、加盟店手数料の約7割をインターチェンジフィーが占めると記しています。これを当てはめると、300円のうち約210円がカードを発行した会社(イシュア)へ渡り、残り約90円がお店と契約した会社(アクワイアラ)の取り分や国際ブランドへの支払いにあたります。イシュアはこの受け取りを原資に、ポイント還元・年会費無料・不正利用の補償の費用をまかなっています。つまり利用者に戻る1%分のポイントは、お店が払った手数料の一部が形を変えたものです。※3%と約7割は説明用の目安で、実際の料率や割合は契約ごとに異なります。

登場人物は4者、その間に国際ブランド

カード決済には、カードを使う会員、商品を売る加盟店、加盟店と契約するアクワイアラ、カードを発行するイシュアという4つの立場が関わり、VisaやMastercard、JCBといった国際ブランドがこの間をつなぐネットワークを提供しています。利用者から見れば「カードで払った」だけですが、裏では売上データがアクワイアラからイシュアへ届き、後日精算されます。筆者が加盟店開拓の現場にいた頃の一般的な理解では、お店側が契約時にまず確認するのは料率と入金サイト(振込までの日数)の2点でした。規模を一次データで見ると、日本クレジット協会「クレジットカード発行枚数調査」では2025年3月末の発行枚数は3億2,057万枚(前年比2.2%増)、同協会「クレジットカード動態調査」では2025年12月の主要26社のクレジットカードショッピング信用供与額は10兆5,555億円です。この規模の支払いのすべてに、上の図のお金の流れが付いてまわっています。※動態調査は主要26社の集計で、業界全体の市場規模ではありません。

加盟店手数料の中身: 約7割がインターチェンジフィー

加盟店手数料は大きく3つに分けられます。1つ目はアクワイアラがイシュアへ支払うインターチェンジフィー、2つ目はアクワイアラ自身の取り分、3つ目は国際ブランドに支払うブランドフィーです。公正取引委員会「クレジットカードの取引に関する実態調査報告書」(2022年4月)によれば、このうちインターチェンジフィーが加盟店手数料の約7割を占めています。お店が払う手数料の大半は、お店と直接契約している会社ではなく、利用者のカードを発行した会社へ流れているわけです。国際ブランドとイシュア・アクワイアラを兼ねるJCBは構造が異なり、公式サイト「ブランド事業」で加盟店手数料の配分率を公開しています。その記載では、配分率は概ねイシュア3:アクワイアラ1で、イシュアへの配分は標準料率のような固定料率ではないとされています。この公開は公正取引委員会と経済産業省の要請を受けて2023年6月1日に行われました。ブランドが違っても「手数料の多くはイシュア側へ行く」という構図は共通しています。

公開されている標準料率: Visaは0.50%〜3.28%

インターチェンジフィーは長く非公開でしたが、公正取引委員会・経済産業省の要請で2022年11月30日、Mastercard・UnionPay・Visaが国内の標準料率を公開しました(公正取引委員会「クレジットカードのインターチェンジフィーの標準料率の公開について」2022年11月)。Visa公式「インターチェンジ・フィー(IRF)」の国内クレジット標準料率は、公共料金・病院・交通などの業種と、Classic・Gold・Platinum/Commercial/Rewards・Infiniteというカード種別の組み合わせで約20区分に分かれ、B2Bプラットフォーム等の0.50%から非適格取引のInfiniteの3.28%まで幅があります(2026年9月時点)。同じ業種でも上位カードほど料率の高い区分があり、高還元カードのポイント原資はこの差から生まれています。これは「標準」料率で、実際の手数料はアクワイアラとの契約で決まります。本記事では筆者が公式ページで確認できたVisaのみを記載します。

ポイント還元率と手数料の関係

「年会費無料で1.0%還元」がなぜ成り立つのかは、ここまでの流れで説明できます。仮に手数料率3%の加盟店で10,000円使われた場合、その約7割にあたる約210円がイシュアに入り、そこから100円分のポイントを返しても、残りで事務費や不正補償の費用を負担する余地があります(公正取引委員会2022年4月報告書の約7割を当てはめた目安)。一方で、1.5%や2%といった高い還元率を手数料だけで支えるのは難しく、年会費、分割・リボ払いの手数料、提携先企業が負担する販促費といった別の収益源と組み合わせて設計されるのが一般的です。筆者が在籍していた頃の一般的な理解でも、還元率はインターチェンジフィー収入とそれ以外の収益のバランスで決まるもので、単独で決められる数字ではありませんでした。特定の会社の内部数値には触れませんが、還元率が高いカードほど「原資はどこか」を意識して条件を読むと、上限や対象店舗の制限が付いている理由が見えてきます。

利用者への手数料上乗せは原則不可、それでもお店が嫌がる理由

多くの国際ブランドの加盟店規約では、カード払いを理由に代金を上乗せしたり、現金払いより不利な条件にしたりすることは認められていません。そのため、同じ商品なら現金でもカードでも表示価格は同じというのが基本です。公共料金や税金の納付のように、制度上あらかじめ決済手数料が明示されている場面は上乗せではなく、その支払い方法のコストとして提示されているものです。一方で、個人経営の飲食店などで「カードは使えません」と案内されるのは、手数料の負担に加えて、入金までに時間差が生じることが理由になっている場合があります。利益率の低い業種では、数パーセントの手数料が経営に与える影響は小さくありません。公正取引委員会の2022年4月の実態調査でも、加盟店手数料の水準がキャッシュレス決済導入の課題の一つとして指摘されています。近年はQRコード決済など初期費用の低い手段も広がり、状況は変わりつつあります。「現金なら安くする」というお店に出会ったら、お店がその分の手数料を負担している事実を思い出してみてください。

利用者にとっての意味: タダの還元はない

カード払いは利用者にとって手数料負担がなく、ポイントも得られる合理的な手段です。ただし、その原資はお店が払った手数料であり、お店はそのコストを価格や利益率の中で吸収しています。「タダで1%もらえる」のではなく、決済という仕組み全体で誰かが払ったお金の一部が戻ってきている、というのが実態です。この理解があると、ポイント目当てに不要な買い物をすることの意味も変わって見えます。還元を目的に支出が増えれば、手元のお金は減ります。決済手段の選択はあくまで支出管理の一部と考え、使いすぎを防ぐ仕組みとあわせて運用するのが現実的です。小さなお店で現金かカードかは、お店の負担を知ったうえで自分で決めればよく、どちらかが正解というものではありません。本記事の図解と数値は、出典(クレカ比較Labo)とこのページへのリンクを付けていただければ、記事・ブログ・SNSで自由に引用できます。詳しい条件は当サイトの「引用・転載について」にまとめています。料率や統計の改定があれば、更新履歴として追記します。

出典・一次データ

本記事の数値は次の公開資料から引用しています。公正取引委員会「クレジットカードの取引に関する実態調査報告書」(2022年4月):加盟店手数料に占めるインターチェンジフィーは約7割。公正取引委員会・経済産業省「クレジットカードのインターチェンジフィーの標準料率の公開について」(2022年11月30日)。同「クレジットカードの加盟店手数料の配分率の公開について」(2023年6月1日)。Visa「インターチェンジ・フィー(IRF)」(国内クレジット標準料率、2026年9月時点):0.50%〜3.28%・約20区分。JCB「ブランド事業」:配分率は概ねイシュア3:アクワイアラ1。日本クレジット協会「クレジットカード発行枚数調査」(2025年11月公表):2025年3月末3億2,057万枚・前年比2.2%増。同「クレジットカード動態調査」:2025年12月のショッピング信用供与額10兆5,555億円(主要26社)。料率・統計は改定されることがあるため、最新の数値は各機関の公式ページでご確認を。

よくある質問

Q. クレジットカードで払うと、利用者に手数料はかかりますか?

A. 通常の買い物では、利用者が決済手数料を負担することはありません。手数料はお店(加盟店)が負担し、多くの国際ブランドの加盟店規約でカード払いを理由とした上乗せは認められていません。公共料金や税金の納付など、制度上あらかじめ手数料が明示されている支払いは例外です。

Q. 加盟店手数料は何%くらいで、その中身は何ですか?

A. 手数料率は業種・ブランド・契約で異なり、一律ではありません。公正取引委員会の実態調査(2022年4月)によると、加盟店手数料の約7割はインターチェンジフィー(お店側の会社がカード発行会社へ支払う手数料)で、残りがお店と契約した会社の取り分や国際ブランドへの支払いです。Visaが公開する国内クレジットの標準料率は0.50%〜3.28%の幅があります。

Q. ポイント還元の原資はどこから出ていますか?

A. 主にお店が払った加盟店手数料のうち、カード発行会社へ渡るインターチェンジフィーです。年会費、分割・リボ払いの手数料、提携先企業が負担する販促費なども組み合わせて還元率が設計されるのが一般的で、還元率の高いカードほど利用上限や対象店舗の条件が付きやすいのはこのためです。

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